『来世ではちゃんとします』(来世ちゃん)感想・考察|なぜ拗らせた大人に刺さる?性を通して「人生の理不尽」を肯定する名作
「まともな大人になれなかった。でも、今更生き方は変えられない」
そんな風に、夜中にふと天井を見上げてしまうような大人たちに、
静かに、でも強烈に寄り添ってくれるのが『来世ではちゃんとします』という作品です。
セフレが5人、処女厨、風俗嬢に高額プレゼント、
一見すると特殊な人たちの物語に見えますが、その根底にあるのは
「何者かになりたい」「誰かに認められたい」という、誰もが抱えている普遍的な欲求です。
恋愛は綺麗なものでなく、努力したからと言って選ばれるわけでもありません。
そんな世界の不条理を突き付けながらも、最後には
来世ではちゃんとすればいっか!と呼吸を楽にさせてくれるよ
『来世ではちゃんとします』(来世ちゃん)の魅力を解説!スタジオデルタの面々が織りなす名シーンを厳選して、その深すぎる魅力をまめしばと一緒に考察していきましょう。
『来世ではちゃんとします』(来世ちゃん)あらすじ&作品情報
都内の小さなCG会社「スタジオデルタ」で働く、性をこじらせた男女5人の日常を描くラブコメディ。主人公の大森桃江はA、B、C、D、E、5人のセフレがいる性依存気味女子。物語では桃江の性生活や、CG会社の激務、その合間に交差する同僚たちの恋愛事情が描かれていく。
作者:いつまちゃん
形式:4コマ漫画
ジャンル:大人向けコメディ
掲載誌:グランドジャンプ
連載開始:2018年~
『来世ではちゃんとします』(来世ちゃん)の魅力|リアルな拗らせ、生きづらさに寄り添う
リアルな拗らせた大人に共感
桃江を始め、デルタの仲間たちもみんな、
意識は別に高くない、だらしない、恋愛も性も拗らせ気味、
でも仕事は最低限ちゃんとしています。
現実にめちゃめちゃ多い層を描いているよ
性の話を下品にしない
一般的に性の話を露骨にするコンテンツは、バイアスがかかっていると思います。
例えば、
性は汚いもの、逆に神聖なもの、性に溺れて破滅、性にありつけなくて破滅、女性が若さだけを売りにして苦労する、等ある種のテンプレートがあります。
ですが来世ちゃんではきれいにしすぎることも、不潔にしすぎることもありません。
生活の延長戦にただ「ある」という描き方をしています。
重すぎず軽すぎず読めるのが魅力だね
生きづらさに寄り添うメッセージ性
『来世ではちゃんとします』(来世ちゃん)は希望を振りかざしたり、下手に前向きにさせようとしてきません。
世界は理不尽だし、個人は弱い。
正しさは報われないことも多いという前提で物語は続きます。
変えられないことは多いけど恵まれている部分もある。
犯罪にならない範囲で好きに生きよう!
来世ではちゃんとすればいいんだから
…そんなメッセージが伝わってくるよ
『来世ではちゃんとします』(来世ちゃん)ネタバレ感想 | 名言&心に響いたシーン
名シーンだらけでかなり厳選したよ!
檜山と心ちゃんの箱根旅行(5巻88発目)
今日は間違いなく人生で幸せだったベスト5に入る
でも1位じゃない…ずっと一緒にいるけど寂しい
人ってやつは相手も満たせていないと、満足できないものなんだなぁ(檜山)
檜山はスタジオデルタでもリーダー的ポジションで活躍していて、
さらに副業で商業誌に週刊連載しています。社会的には優等生です。
ですが恋愛では超面食いで、ソープ嬢の心ちゃんにガチ恋しています。
100万円のウォーターベッドを心ちゃんにプレゼントして旅行に行けますが、
そこで気が付いたのが「相手を満たせていないと自分も満足しない」ということでした。
よく聞く「お金で買えないものもある」ってこのことなのかな
結婚できないAくん(7巻127発目)
菜々は美人で学歴も稼ぎもあり
何より長年連れ添った情と浮気を我慢させた申し訳なさがあるが
こいつしかいないと頭でわかっていても
その他を手放すには人生は長すぎる(Aくん/敦)
桃江が恋をするセフレのAくんこと敦。菜々はAくんの本命彼女です。
Aくんは学歴職業容姿、社会的に成功したいわゆる勝ち組ですが、
中身は親の期待に応え続けてきた、好きな物を隠している、
性癖も本命には出せない、役割としての人生をずっと生きてきた人です。
セフレの桃江には癖の強いSMプレイをできますが、
桃江に求めているのは恋愛ではなく、自分の汚い部分を出せる安全地帯です。
しかしそんな桃江も、このように話しています。
形と経緯は違えど私たち(桃江とEくん)は同類だ
学生時代相手にされなかった高嶺の花に、クラスの王子様に、
スペックの高い異性を抱き続けることでリベンジしているのだ(桃江/1巻4発目)
怒りは二次感情ってよく聞くけど、
惚れた腫れたもほとんど二次感情なのかもね
林を好きになった凪ちゃん(6巻110発目)
顔が可愛い女ならゴミ屋敷に住んでても
風呂 何日も入ってなくてもいいのかよ
ボクのことは男ってだけで受け入れられないくせに…(凪/6巻110発目)
女装男子で可愛い凪ちゃんはモテモテですが、処女厨でセカンド童貞の林のことを好きになります。
凪ちゃんは自分磨きを怠らない努力家で、被服学生で、YouTubeもやっています。
選ばれる側の資質を持っているのです。
ですが、林が好きになった梢は、ソープ嬢でゴミ屋敷に住む顔が可愛い女の子です。
メンタルが弱めなのでお風呂に何日も入らないこともありますが、林はいくらでも世話して尽くします。
(処女厨と言っていたのに、相手はソープ嬢です)
処女厨に、女装男子をぶつける作者の神展開だね
凪ちゃんが林の恋愛レーダーに最初から映らない理由は、男だから、それだけです。
凪ちゃんの努力が不足しているわけではなく、林の固定観念が変わらない限り、最初から勝負の土俵に立つことができません。
努力家で一途で誠実。全部そろっている凪ちゃんが負けるの、理不尽すぎるよ
『来世ではちゃんとします』(来世ちゃん)見どころ|人生を語っている、自己肯定感がちょっと上がる漫画
- 性を通して人生を語っている
- 恋愛を感情だけでなく構造で描いている
- 厭世観があるのに、絶望しきらない
この漫画の一番の特徴は、
好きと嫌いや、ドキドキではなく、
なぜその恋をしていて、何を埋めようとしているのかを全部見せてきます。
『来世ではちゃんとします』(来世ちゃん)を読むならDMMブックスがおすすめ!
是非何度も読み返してね!


