『クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』の感想|ロボとーちゃんが腕相撲で負けた「本当の意味」とは?現代の父親像を再定義する名作を考察!
シリーズ初、父・野原ひろしにスポットを当てた名作です!!
なんと「第18回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞」を受賞しています。
女性の社会進出、家父長制の解体が進み、形を変えていく現代社会の家族の形を取り上げた今作。ギャグと家族愛テーマのバランスが良く、
「オトナ帝国」「アッパレ戦国」に並ぶ傑作の劇場版です。
感動したお父さん多いんじゃないかな
なぜ『ロボとーちゃん』は父親世代の心をここまでつかんだのか?
なぜ完璧なロボよりも、不完全なひろしが選ばれたのか?
『クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』の魅力を解説!毎日家族のために頑張っているお父さんや、最近父親との距離感に悩んでいる人にこそ見てほしい名作です。
『クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』あらすじ&作品情報
ある日ぎっくり腰になった野原ひろしは、マッサージ店に行く。そこでロボットの体にされてしまったひろしは仕事も家事も絶好調、疲れ知らずの完璧な父親になる。しかしその裏では父親の地位向上を目指す組織の陰謀があった。
原作:臼井儀人
劇場版シリーズ:第22作
上映時間:97分
受賞歴:第18回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞
『クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』の魅力|父親は強くあるべき?
現代の父親の二重地獄
この映画は公園にいるいわゆる帰宅拒否夫のシーンが序盤にあります。
家に居場所がなく、公園も追いやられ、居場所がありません。
しかし家にいると、
- アンテナの修理をして
- 犬小屋を日曜大工で修理して
- 家事をして
父親としての強さを求められています。
しかし、ちちゆれ運動(いわゆる家父長制の復活)が行われます。
家父長制とは…父親が絶対的な権力を持つ家族の形
父親としての強さを盾に、
- 父をもっと敬え
- 権威を父親に戻せ
このように強さを振りかざすと嫌われてしまいます。
強さを求められながら、それを振りかざすと嫌われるのです。
ダブルスタンダードになっている部分もあるのかも?
完璧なロボとーちゃんより、不完全な人間の父
ロボとーちゃんがラスボスも、中ボスも、みんな実際に倒していました。
カスカベ防衛隊のみんなを助けたのも、
アンテナを直したのも、料理をしたのも、シロの犬小屋を建てたのも、
全て本物のひろしではなくロボとーちゃんです。
ですが、みさえが駆け寄っていくのはいつも生身の野原ひろしでした。
家族が欲しいのは弱くて、不完全な父親像であることがわかります。
仕事ができる完璧なロボットよりも、不完全でも父親がいいってことだね
腕相撲でロボとーちゃんが負ける意味
ロボとーちゃんは理想の父親の具現化です。
なぜ腕相撲に、力がずっと強いはずのロボとーちゃんが負けるのか。
それはロボとーちゃんが完璧な父親像だからです。
あの場でロボが勝ってしまうと、野原一家が壊れてしまいます。
完璧な父親とは、
自分が正しいことを証明する人ではなく、
家族を守るために自分が引ける人です。
負けることで、完璧な父親像を全うしたのです。
人気の理由がよくわかるね
『クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』の名言
押し付けることがしつけじゃない(野原ひろし)
押し付けることがしつけじゃねえんだ!自分からやらなきゃ意味がねえんだよ!(野原ひろし)
ピーマンを無理やりしんのすけに食べさせようとされた時のシーンです。
ちちゆれ同盟でも出ていた「しつけ」はまさしく周囲に正しいふるまいを押し付けるような意味合いでしたが、
野原ひろしのもともとの教育方針はやはりちちゆれ同盟とは違ったようです。
しんのすけはやはりひろしのことが大好きですし、その理由がよくわかるシーンです。
ひろし優しいよね
大人の階段はぼんやり登ると後が大変(風間くん)
大人になるのは簡単だけど、ぼんやり登ると大人になってからが大変なんだって!(風間君)
非常に有名で意味深な風間君の言葉です。
大人になるなら、時間がたてば自動的に年を取って大人になれます。
でもぼんやり登ると大人になってからが大変。
ぼんやりと父親になると、世間から求められるテンプレ父親像を押し付けられてしまうということではないでしょうか?
例えば今作のラスボスであった警視庁の黒岩仁太郎(黒岩所長)も、
実は家庭内で居場所がなく、春日部に単身赴任させられて、
寂しい思いをしたことからちちゆれ運動を始めてしまいました。
家父長制度復活を望んだのはいわゆる「さえない父親」ではなく、
警察署の署長のエリートの若いイケメンパパだったんですよね。
実際彼は、
みさえとひまわりも「結構いい男じゃない」と反応するビジュアルをしていました。
そのあとすぐに性格に難ありと見抜いた二人がさすがすぎて面白かったね
極端な持論なのですが、
彼の理想の温かい家庭は、転勤ありのエリート署長ではなく、
家族に愛される双葉商事の係長のほうが近いのかもしれません。
ぼんやり登った大人の末路が彼だったのかもしれません。
まず部下の名前をちゃんと覚えるところから始めてほしいよね。
ひろしは川口の名前ちゃんと覚えてるぞ!
寒いおやじギャグ(ひろし)
なぜひろしはロボになったのか。
きれいなお姉さんにつられて無料の整体に参加していったからです。
最初はアンケートに答えろと言われて面倒そうなひろしでしたが、
相手が綺麗な女性と分かると態度と顔が一変。
なんでも協力すると言ってさっさと連れていかれていました。
そしてその最中に寒いおやじギャグを言っていました。
この映画の序盤ずっと面白いんだよね
おいて行かれたしんのすけは、先に帰宅しみさえに
「とーちゃんがきれいなお姉さんについていった」
と言いますが、みさえの意見も「なぜかそこだけは想像できるわ」でした。
面白すぎるよ
『クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』の見どころ
- 現代の父親の再定義の物語
- 子供も妻も、完璧なロボットのような父が大切なわけじゃない
- 成功することと幸せになることはイコールじゃない
ロボとーちゃんは、「父であること」を問い直す物語だったのかもしれません。
ぜひ見てみてね!


