『劇場版総集編 呪術廻戦 懐玉・玉折』なぜこんなにもやるせないのか|あらすじ、ネタバレ感想・考察
『劇場版総集編 呪術廻戦 懐玉・玉折』を見ました。
呪術廻戦アニメ1期を見終わった後、原作未読、展開も何も知らずに視聴しました。
面白すぎた。これは痺れたよ。
夏油傑が闇落ちしたと言われる原因の有名なエピソードです。
ですが原因は一言で言えず、人がたくさん亡くなったのに達成感も何も残らない、やるせない話だと思います。
この記事ではなぜこの物語がここまで後味の悪さを残すのか、作者が伝えたかったことは?など考えていきます。
誰も間違った選択をしていないのに、
構造のせいで全員が不幸になるから
だと思うよ
『劇場版総集編 呪術廻戦 懐玉・玉折』ざっくりあらすじ
星漿体護衛・抹消任務
2006年、呪術高専で五条悟と夏油傑は、才能と将来を約束された「最強の2人」。家柄にも同期にも恵まれ、充実した学生生活を送っていました。2人が新たに任命された任務は天元との適合者である、星漿体(せいしょうたい)天内理子の護衛と抹消でした。
天元の信者たち盤星教(ばんせいきょう)は、崇拝する天元と、星漿体という不純物が混ざることを許せず、天内理子の死を望んでいます。また、Qと呼ばれる呪詛師集団も天内理子殺害を狙っており、この2つからの護衛が五条・夏油の任務になります。
天内理子の学校に入りQから華麗に天内を助け出した2人。無事天元のいる薨星宮(こうせいぐう)のある呪術高専にたどり着きます。
天与呪縛、伏黒甚爾との交戦
「高専の中は結界に守られている」「ひと安心だね」気を抜いた矢先、五条悟の体を刀が貫き、血が流れます。天与呪縛の伏黒甚爾が現れ、五条悟と交戦します。夏油傑は天内理子を連れて呪術高専の最深部、薨星宮へ急ぎます。伏黒甚爾は、盤星教が雇った暗殺者でした。
天内理子は約14歳。天元と同化するということはそこで人としての人生が終わるということです。天元様と同化の直前、天内理子は「もっとみんなと一緒にいたい」と涙を流し、夏油傑は「私たちは最強なんだ。理子ちゃんがどんな選択をしようと君の未来は私たちが保証する」と答えます。「さあ、帰ろう」。
天内理子が「…うん!!」と笑顔を見せた瞬間銃声が響き、天内理子は殺害されます。撃ったのは五条悟を殺し、夏油達を追ってきた伏黒甚爾でした。夏油傑は五条・天内・天内の付き人黒井の死亡に怒りをあらわにして交戦しますが、敗北します。
五条悟の覚醒
復活した五条悟は反転術式を習得し、伏黒甚爾と再戦します。虚式茈(むらさき)を発動して伏黒甚爾を撃破。家入硝子によって回復した夏油も追いつきますが、そこには天内理子の死体を抱きかかえた五条悟と、笑顔で拍手をする大量の盤星教信者がいました。
夏油傑の変化
呪術師は非術師を守るため陰ながら戦っています。しかし天内理子の1件から夏油傑の頭には拍手をする盤星教信者がちらつきます。盤星教信者は非術師集団です。彼らを守るために呪術師たちは命を削って戦っているといっても過言ではありません。
夏油は非術師を猿と呼んで見下すようになっていきました。九十九由基との会話を基に、この連鎖を止めるには非術師を皆殺しにし、呪術師だけの世界を作ればいいと考えます。
反転術式を習得し、最強となった五条悟は担任によって事件を知らされます。「夏油傑が旧■■村の住民112名を殺害。呪詛師として処刑対象となる」。
『劇場版総集編 呪術廻戦 懐玉・玉折』の魅力|社会批判、風刺であること
誰が得をしたのか
天内理子が天元様と同化する、または五条・夏油とともに逃げることができればまだ納得感がありました。
伏黒甚爾によって殺されましたが、彼も盤星教の信者ではなく、仕事として請け負っただけでした。天元様との同化を許せなかったというわけではありません。
任務を達成した伏黒には多額の報酬が入りましたが、その後五条悟に殺され使う暇はありませんでした。
盤星教は天内の死(天元との同化阻止成功)を喜んでいました。ですが、天元様は500年ごとに星漿体と同化しないと不死状態を維持することができません。
天元様は呪術界の拠点に張られた結界の要です。同化を止めることが正しいとも思えません。
後味が空っぽで、虚無になるね。やるせない。
凡人に敗北する六眼の天才
五条悟の言う通り呪術師の世界は才能がすべての世界です。
そのため才能がある人間を輩出する家柄は絶大な力を持ち、五条・夏油の実力や万能感の根幹も、それぞれ術師として生まれつき才能があったことが非常に大きいです。
そんな二人が敗北した伏黒甚爾は、非術師のため呪術界から冷遇されてきた人間です。
俺たちは最強だと慢心していた二人の心を折るには十分な出来事だったと思います。
普通の漫画なら凡人が天才に勝つって燃える展開なのにね
伏黒甚爾自身の強さも、天与呪縛といえど研鑽の結果の強さであり、その努力のモチベーションは「禅院家に差別されていたこと」であることは容易に想像がつきます。
術師を厚遇した結果五条と夏油は万能感を得て、非術師を冷遇した結果伏黒甚爾は術師殺しと呼ばれるほど強くなりました。それも呪霊でなく、術師の殺害に特化した強さです。
五条・夏油を倒し、天内を殺害した今回の戦いは、元をたどれば一部の原因は歪んだ呪術界にあるとわかります。
しかし、伏黒甚爾敗北の原因を本人は「勝って見返したかったから」だと内省しています。この原因も歪んだ呪術界だということです。
少しわかりづらくなってしまいましたが、
- 五条、夏油の万能感→御三家の厚遇
- 伏黒甚爾の修業、術師殺しに至る原因→禅院家の冷遇
- 伏黒甚爾の敗北→禅院家を見返したい
【結論】大体御三家のせい
【つまり】敵は個人ではなく構造
勧善懲悪にならない。巧みなストーリーテリング。痺れるね
夏油傑闇落ちの原因:差別される側がヒーローをすること
夏油が112人を殺した■■村では術師が変死等の原因とされた結果差別され、檻に入れられて暴力を受けていました。
一般的なヒーローは感謝され称えられますが、術師にはそれがありません。
自分たちを差別する非術師を守るため、呪術師の仲間が怪我をして死んでいくのです。
でも、非術師全員が悪いわけじゃないし、
なんだか考え方がずれている気がするよ
やはりここでも原因は個人ではなく構造という結論に至ると思います。
争いのもとをたどると構造がある。
それは現代社会でも散見されることだと思います。
作者は作品全体を通して社会構造への批判、つまり風刺をしているのかもしれません。
懐玉・玉折の意味
個人的に気になっていたタイトルの意味を辞書的に調べてみたので掲載します。
作中で言うと、五条、夏油の若き日の万能感と考えられます。
作中で言うと、天内理子の死をきっかけに起こる夏油のいわゆる闇落ち、五条が一人で最強になってしまうことと考えられます。
おしゃれなタイトルだけど、意味を知った後だとより作者の天才さを感じるし、やるせない気持ちになったよ
漫画でのタイトルのつけ方は以下になります。
懐玉:無印(壱)~拾壱<1~11>まであり、懐玉編開始~伏黒甚爾死亡まで
玉折:無印(壱)~参<1~3>まであり、盤星教の拍手~五条と夏油の別れまで
『劇場版総集編 呪術廻戦 懐玉・玉折』はアニメ何期?漫画だと何巻で読める?
アニメでは何期?
『劇場版総集編 呪術廻戦 懐玉・玉折』はTVアニメ『呪術廻戦』第2期「懐玉・玉折」編全5話にあたります。
劇場版とアニメの戦闘シーン、迫力があってすごくかっこいいよね
漫画では何巻で読める?
『劇場版総集編 呪術廻戦 懐玉・玉折』は、単行本8巻・9巻です。
漫画のコマ割りや絵のタッチ、構図も味があってすごくかっこいいから、漫画原作もぜひ読んでみてほしいよ!


